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狩猟と獣害のいま

なぜ、ジビエレザーなのか。その背景にある狩猟と獣害の現状を、国や研究機関の調査データをもとにまとめました。数字の横の[ ]は、ページ下部の出典番号です。

  1. 01日本の狩猟の歴史
  2. 02人類史のなかの狩猟
  3. 03現代の獣害
  4. 04なぜ狩猟が必要なのか
  5. 05狩猟された獣のゆくえ

01

日本の狩猟の歴史

日本列島では縄文の時代から、シカやイノシシは大切な食料であり、皮や骨、角は衣服や道具になってきました。675年に肉食を禁じる詔が出されてからも、野山の獣は「薬食い」として食べ続けられていました[1]。

02

人類史のなかの狩猟

人類が農耕を始めたのは、およそ1万年前のことです。それ以前の200万年以上にわたって、人は狩猟と採集によって生きてきました。人類学では、人類史の99%以上が狩猟採集の時代だったとも言われます[2]。

狩りで得た獲物は、肉だけでなく、皮は衣服や住まいに、骨や角は道具になりました。一頭を余すことなく使うのは、当たり前のことでした。革は、人類がもっとも古くから使ってきた素材のひとつです。

03

現代の獣害

いま、日本各地で野生鳥獣による被害が深刻になっています。2024年度の野生鳥獣による農作物の被害額は188億円で、前年度から24億円増えました。そのうちシカが79億円(前年度比+9億円)、イノシシが45億円(同+8億円)で、この2種だけで全体の約3分の2を占めています[3]。被害額はピークだった2010年度(239億円)からいったん減ったものの、再び増えています[4]。

農作物の被害額

188億円

2024年度/農林水産省[3]

シカの推定生息数(全国)

約303万頭

2023年度末・中央値/環境省[6]

イノシシの推定生息数

約122万頭

2023年度末・中央値/環境省[6]

被害は畑だけではありません。2024年度の野生鳥獣による森林の被害面積は全国で約4,000ヘクタールにのぼり、その約6割がシカによる枝葉の食害や樹皮はぎです[5]。

また、2025年度はクマの出没が相次ぎ、人身被害に遭った人は238人、亡くなった人は13人と、いずれも過去最多になりました[7]。

野生鳥獣による森林の被害面積

約4,000ha

2024年度(約6割がシカ)/林野庁[5]

クマによる人身被害者数

238人

2025年度・速報値(過去最多)/内閣官房[7]

数字に表れない影響もあります。丹精込めて育てた作物を荒らされることで、農家の営農意欲が失われ、耕作放棄や離農につながると指摘されています[4]。獣害は、地域の暮らしそのものを揺るがす問題になっています。

04

なぜ狩猟が必要なのか

柵などで畑を守るだけでは、増えすぎた生息数そのものは減りません。国は2013年、シカとイノシシの生息数を10年間で半分(2011年度比)にする目標を掲げ、狩猟による対策を強化してきました。イノシシは順調に減っている一方、シカは目標に届かず、期限は2028年度まで延長されています[8]。

シカの狩猟数

約73.9万頭

2024年度・速報値/環境省[9]

イノシシの狩猟数

約64.3万頭

2024年度・速報値/環境省[9]

そのうち、被害防止などのために許可を受けて行われたもの

約84%

2024年度・速報値から算出[9]

2024年度には、シカとイノシシをあわせて約138万頭が狩猟されました。このうち、猟期に狩猟免許を持つ人が行う一般の「狩猟」は約16%で、約84%は被害防止や生息数の調整のために、自治体などの許可を受けて獲られたものです[9]。狩猟はいまや、地域を守るための公的な役割も担っています。

一方で、その担い手は減り、高齢化が進んでいます。狩猟免許の所持者は1975年度の約51.8万人から、2021年度には約21.3万人にまで減りました。60歳以上が占める割合は、同じ期間に約9%から約56%へと大きく上がっています[10]。

狩猟免許の所持者数

51.8万人 → 21.3万人

1975年度→2021年度/環境省[10]

所持者のうち60歳以上の割合

約9% → 約56%

1975年度→2021年度・当サイト算出/環境省[10]

人と野生動物が暮らしの場を分け合っていくために、狩猟は欠かせない取り組みです。そして、その一頭一頭が、かけがえのない命でもあります。

05

狩猟された獣のゆくえ

では、狩猟された獣はどうなっているのでしょうか。2024年度に食肉処理施設で処理されたのは、シカ約12.8万頭、イノシシ約4.0万頭でした[11]。同じ年度の狩猟数と比べると、食肉処理施設にまわったのは全体の約12%にとどまります[9][11]。

食肉処理施設で処理された割合

約12%

2024年度・当サイト算出[9][11]

自治体での主な処分方法

埋設 約7割

2016年調査・複数回答/国立環境研究所[12]

処理施設の売上に占める「皮革」

約0.5%

2025年度/農林水産省[11]

残りの多くは、獲った現場での埋設や焼却によって処分されていると考えられます。全国の自治体を対象にした調査では、処分方法として埋設が約7割、焼却が約3割にのぼりました(複数回答)[12]。穴を掘って埋める作業は猟師の大きな負担となり、臭いや周辺環境への影響も課題になっています。

皮の活用となると、まだごく一部にとどまっています。2025年度に食肉処理業者が野生鳥獣から得た売上は約64億円でしたが、そのうち皮革の販売は約3,400万円、全体の約0.5%にすぎません[11]。

それでも、変化は始まっています。2025年度のジビエ利用量は3,155トンと過去最大になり、処理されたシカは前年度から16%増えて約14.8万頭になりました[11]。

捨てられていく命を、革として残す。

VON HUNT worksは、岐阜の野生鹿、愛岐の野生猪の皮を一枚ずつ革へと再生し、その先の製品づくりに携わる企業・ブランドの皆様へお届けしています。

出典

  1. 公益財団法人日本食肉消費総合センター「食肉用語集:肉食禁止令」(参照:2026年9月) リンク
  2. Lee, R. B. & DeVore, I. (eds.) “Man the Hunter”, Aldine, 1968.
  3. 農林水産省「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和6年度)」 リンク
  4. 農林水産省「令和5年度 食料・農業・農村白書」第1部第4章第7節「鳥獣被害対策とジビエ利活用の促進」 リンク
  5. 林野庁「野生鳥獣による森林被害」(令和6年度の状況) リンク
  6. 環境省 報道発表「全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定等の結果について」2026年4月23日(令和5年度末の推定値) リンク
  7. 内閣官房「クマ被害の現状と対策について」クマ被害対策等に関する関係閣僚会議 資料、2026年5月19日(令和7年度の速報値) リンク
  8. 環境省・農林水産省「シカ・イノシシの捕獲強化対策と捕獲目標について」2023年9月1日 リンク
  9. 環境省「ニホンジカ・イノシシ捕獲頭数速報値(令和6年度)」2025年9月25日現在 リンク
  10. 環境省「年代別狩猟免許所持者数」「種別狩猟免許所持者数」(1975〜2021年度) リンク
  11. 農林水産省「令和7年度野生鳥獣資源利用実態調査結果(食肉処理業者)」2026年9月30日公表(令和6年度の値を含む) リンク
  12. 国立環境研究所 資源循環領域「改訂版 有害鳥獣の捕獲後の適正処理に関するガイドブック ~自治体向け~」2024年6月(2016年の自治体アンケート結果) リンク

※ 国の統計では、猟期に行う「狩猟」と、被害防止などのために許可を受けて行う「捕獲」が区別されています。このページでは、両方を合わせて「狩猟」と表記しています(出典の資料名はそのまま記載しています)。

※「当サイト算出」の数値は、上記の公表値をもとにVON HUNT worksが計算したものです。食肉処理施設を通さない自家消費などは含まれていません。速報値は今後修正される場合があります。